アンボロ国立公園およびアンボロ総合自然管理地域は、サンタクルス県西部のアンデス山脈東側斜面に広がります。アンボロ国立公園内には、約3,000種類の植物が公式に記録されていますが、実際には約4,000~5,000種もの植物が生育しているといわれています。
無脊椎動物のグループで、特にチョウに関しては、289種もの昼行性チョウ類が記録されています。アンボロ国立公園は、このグループ(無脊椎動物)においてボリビア国内で最も多様性の高い国立公園となっています。また、昆虫類、甲虫類、クモ類、多足類などの多様性も非常に高いとされています。
魚類(淡水魚)に関して代表的なのは、サバロ(プロキロダス・ラベオ)、スルビ(タイガーショベルノーズキャットフィッシュ)、パクー(レッドベリードパクー)などが生息しています。
爬虫類と両生類のヘルペトファウナ*に関して、アンボロ国立公園は、ボリビアの自然保護区の中で最も豊かな多様性を誇ります。ボリビアで発見された種の50%にあたる127種のヘルペトファウナがこの地域で確認されています。なかでも、ヤカレー・カイマン(小型のワニ)やボアコンストリクター(大型のヘビ)が注目されています。
*爬虫類と両生類をまとめて指す用語
また、鳥類は802種が記録されており、これはボリビア国内で記録されている鳥類の60%に相当します。アンボロ国立公園は、地球上で最も多様な鳥類が生息する自然保護区とされています。注目すべき種として、カンムリコンゴウインコ、ミリタリーコンゴウインコ、アカハラコンゴウインコ、オウギワシなどのボリビア固有種の鳥類が挙げられます。
そして、哺乳類のグループは136種が記録されています。その種類は、肉食動物、有袋類、霊長類、齧歯類、翼種目(哺乳類で唯一飛ぶことのできる種目であるコウモリ)などで、中でも特に注目すべき哺乳類は、メガネグマやハゲグマ、ジャガーなどが挙げられます。
管理区分: 国立公園および総合自然管理地域
面積:約442,500ha
場所: アンデス山脈東部(東側斜面)の通称「アンデスの肘」と呼ばれる地域に位置します。
サンタクルス県の4つの群、イチロ群(ヤパカニ市、ブエナ・ビスタ市、サン・カルロス市)、アンドレス・イバニェス群(エル・トルノ市、ポロンゴ市)、フロリダ群(サマイパタ市、マイラナ市、パンパ・グランデ市)、マヌエル・マリア・カバジェロ群(コマラパ市)、および各自治体に広がります。
生物地理学的なサブリージョン(小地域):アンボロ国立公園一帯は、「アンデスの肘」と呼ばれ、サンタクルス県亜アンデス地域、東方向に伸びるアンデス山脈が南方向に折れ曲がり進路を変える地点に位置します。アンボロ国立公園の地形的地帯は、典型的な山岳地帯で、急な斜面や大きな標高差が特徴です。
標高範囲:約300mから3,300m
気候:低地は熱帯~亜熱帯気候、高地は温帯気候
自生する植物相:アンボロ国立公園に自生する植物は、合計2,659種の高等植物(維管束植物)が公式に記録されています。実際には、3,500種を超える植物が自生していると考えられています。代表的なものは、リマチュ(サクラソウ科)、ケルケルウ(ケシ科)、セビージョ(ヤマモモ科)、ビボシ(イチジク科)、アマバイバ ウバ(イラクサ科)、パカイ(マメ科と近縁)、ギタレロ(ウコギ科)、クラボ・ロホ(アカネ科)、マラ(センダン科)、マツ(マキ科)、クルミの木(クルミ科ボリビアクルミ)、カネロン(クスノキ目)が挙げられます。公園内の雲霧林に巨大な樹木シダ(ヘゴ科)の広大な群生が見られることは、非常に重要な意味を持ちます。さらに、ヤシ科のパチウバ(ソクラテア属)、アサイー(エウテルペ族)、そしていくつかの固有種のランも確認されています。
生息する動物相:アンボロ国立公園で記録されている鳥類の種の豊かさは840種を超え、これはボリビアに生息する鳥類の60%以上に相当します。この数は、世界の多くの国々の鳥類種数を上回る数です。同様に、爬虫類や魚類、哺乳類などの多様性も非常に豊かです。爬虫類は105種が確認され、魚類は109種が記録されています。両生類については76種が確認され、哺乳類は127種以上が記録され、中でもコウモリは43種が生息しています。
アンボロ国立公園全体として、1,200種以上もの動物類が記録されており、哺乳類の多様性が特に豊かです。代表的な種は、メガネグマ、ジャガー、ピューマ、オセロット、その他のネコ科動物(ジャガランディ、マーゲイ、ジョフロイネコ、ジャガーネコ)、オオアリクイ、ジャイアントアルマジロ、クモザル、カワウソ、バク、シカ類(アカマツジカ、ハイイロジカ)などです。
周辺地域:アンボロ国立公園と、その影響圏(影響力の及ぶ範囲)は、約10,578 k㎡に及びます。これは、コチャバンバ市とサンタクルス市を結ぶ2つのルート(国立公園の北側を通る国道4号線と南側を通る国道7号線)の中央部分をすべてカバーするほどの大きさです。アンボロ国立公園東側は、サン・カルロスやブエナ・ビスタ、ウアイトゥの町、西側は、コチャバンバ県となります。ちなみに、アンボロ国立公園と隣接するカラスコ国立公園の境界は、ちょうどコチャバンバ県とサンタクルス県の県境になります。アンボロ国立公園の南側に位置するサマイパタは、国立公園を訪れるための観光拠点にもなっています。サマイパタは、サンタクルス市街から車で約2時間半の距離で、アンデス山脈の東斜面に位置し、標高約1,670m、人口約4,000人の町です。
観光スポット:アンボロ国立公園は、山岳地帯、深い渓谷、急流、滝など、様々な素晴らしい景観を誇ります。また、湿潤な山地の多様な生態系が存在することも特徴です。公園の南側外縁の緩衝地帯には、サマイパタの遺跡(サマイパタの砦)やトゥナルの岩壁画があり、その周辺にはコマラパ、ブエナ・ビスタといった清らかで美しい自然であふれる町が点在しています。また、様々な観光スポットやサービスも充実しています。
シベリア:非常に多様な植物相を有する雲霧林。バードウォッチングに適したスポット。
ムクニュクの滝:高さ40mから流れ落ちる滝を楽しめます。
イチロ川の峡谷
サグアヨ:多種多様な動植物が観察できるスポット。
ラ・チョンタ:バードウォッチングに適したスポット。
マイラナのユンガ(通称:巨大シダの森)
他にも、マタラクやラグーナ・ベルデ、ビジャ・アンボロ、ハルディン・デ・ラス・デリシアス、(公園内にある)火山などの美しい自然景観に恵まれた場所は、地元コミュニティによって現在観光整備の推進がされています。
アンボロ公園へのアクセス:アンボロ国立公園は、前述の通りコチャバンバ市とサンタクルス市を結ぶ国道4号線と国道7号線の中央に位置しています。これらの幹線道路には、アンボロ国立公園への分岐点が複数存在するので、簡単に国立公園へアクセスすることが可能です。アンボロ国立公園北側は、国道4号線沿いの町ブエナ・ビスタやサンタフェ、ヤパカニを経由するルートが便利です。他にも、いくつかの未舗装道路の町(エスペヒートス、サグアヨ、ラ・チョンタ、マクニュク) や、雨季にはヤパカニ川からもアクセスできます。アンボロ国立公園の南側は、国道7号線及び旧道沿いの複数の町 (エル トルノ、サマイパタ、マイラナ、パンパ グランデ、マタラル、コマラパ) から入園できます。